鳥山社長へ質問です。先代がいらっしゃって、育休や有給の取得、このような取組みに対して、世代間ギャップがあったと思います。具体的には、どのようにギャップを埋められてきましたか?

先代は、私より30歳近く年上でした。育休や有給の取得は、当時はまだまだ一般的ではありませんでした。そのため、幹部たちは、育休や有給を取得することは、仕事に支障をきたすのではないかという不安があったと思います。

私は、会社で働きやすい職場づくりについて、今後の取り組みの必要性を話し合いを重ねました。育休や有給の取得は、仕事のパフォーマンスを向上させるための取り組みであり、会社にとってもメリットがあることを理解してもらいました。また、育休を取得した社員の活躍事例を紹介し、育休のメリットを具体的に伝えました。さらに、社内報やグループウェアどを通じて、育休や有給の取得に関する情報を発信しました。また、宮崎県の表彰を通じて、育休や有給を取得した社員から情報発信を致しました。これらの取り組みを通じて、先代や上司も育休や有給の取得の重要性を理解し、社内にも理解が広まりました。

固定概念や無意識の偏見を取り除くために行った一番の取組は何か。

固定概念や無意識の偏見を取り除くためには、まず、それらがあることを認識することが重要です。そのため、社員研修において、ジェンダーギャップや無意識の偏見に関する教育を実施しました。具体的には、新聞の切り抜きや他社の取り組みを紹介しました。

さらに、社内に仕事と家庭の両立を支援するプロジェクトチームを立ち上げました。このプロジェクトチームでは、育児・介護と仕事の両立に関する情報の収集・発信や、社員の相談・支援を行っています。これらの取り組みを通じて、社員の意識が徐々に変化してきました。

組織が硬直化している中で男性育児を進めていくには覚悟が必要かと思います。社内から理解を得られるまでのことを聞かせて頂ければと思います。

組織が硬直化している中で男性育児を進めていくには、経営層の強いリーダーシップが不可欠です。経営層が男性育児の重要性を理解し、積極的に推進していく姿勢を示すことにより、社員の理解が得られやすくなります。弊社では、代表自ら育児休業の奨励、取り組みを進めています。

また、育休や有給の取得に関する制度を整備することも重要です。制度が整っていないと、社員は育休や有給を取得することに不安を感じてしまいます。

さらに、社員一人ひとりとのコミュニケーションを大切にすることも大切です。育休や有給を取得した社員の話をじっくりと聞き、その不安や課題を理解するようにします。

具体的には、以下の取り組みを行っています。

  • 経営層による男性育児の重要性に関するメッセージの発信
  • 育休や有給の取得に関する制度の整備
  • 育休や有給を取得した社員との面談の実施
  • 社内での育児と仕事の両立に関する情報の発信

これらの取り組みを通じて、本人の不安が軽減すること、男性育児を見守る姿勢を醸成していく風土づくりを粘り強く取り組んでいくことが大切です。

津曲社長へ 会社で育休推進を始めたきっかけは何ですか?

自分で取得してみて、必要だと実感したためです。

先駆的な取組のご紹介、ありがとうございました。これらの取組を行なって、企業や社員にどんな変化がありましたか。

自社に対する「愛着」や仕事に対する「やりがい」などが生まれて、徐々に明るくなってきています。

休暇を作っても、管理職の理解なしに、取得が進むとは思えません。管理職の理解を進めるために何ができるでしょうか?

取得が進まない理由の『不安』について、具体的に当人よりヒアリングを行いました。そして問題点の解決へと動き、実際に安心して取得できる状況へ。現場に寄り添った行動をされる事をお勧めします。

育児休暇を取得を推進する上で子供成長は続きますが、分散して取得させたケースはありますか?

本人の希望により、分散して取得されたケースもあります。(産後パパ育休2週間+2週間、そして育休)

社員の皆さんは、どのくらいの育休を取得されているのでしょか。育休期間は申請者の判断による部分があるとすれば、遠慮して短く申請するような実態も想定されますが、どのように対処されているのでしょうか。また、延長する事例もありますか。

最長は5カ月の取得実績があります。育休は一週間程で有給と合わせて一カ月近くの連休を取られる方もおられます。子供の数が多くて、奥様の体調などが良くない、でも収入もできるなら減らしたくない、などの事情に寄り添って。急な出産となっての前倒しや、延長なども含めて、柔軟に本人の希望に寄り添う「レスキュー」の取得を実際に行っています。

・職場の人員配置等どのように取り組んでいるのか。どうしても産休、育休者が増えるとそのカバーが必要になるが、人員には限りがある。
・育休を取られた方の業務の穴は、どのように埋められたのでしょうか。
・津曲社長へ 育休によって不足する労働力は、どのようにフォローされているのですか。

人員の応援体制としては、職場内の仲間同士にて話し合いながら、有休はもとより産休・育休を取り合っています。職場内における多能工、そして他部門や他工場からの応援も含めて。引越しを伴わない応援による助け合いで対応しています。部門によっては、期間限定の雇用(派遣)をお願いして、対応する場合もあります。

助け合い・休め合える様に多能工を推進していますが、本人の希望と能力に基づいて。時間帯(日勤・夜勤)や作業(汚れやすい・立ち仕事)の内容に男女の区別を設けずに推進をしています。そして加点式育成型人事評価「成長チェック」において高く評価しています。また、能力評価による「技能手当」によって、生産性向上による利益の還元に努めて報いる事で、不足する労働力へのフォローを行っています。

・男性育休取ったことで、社内でのメリット、デメリットはありましたか?
・男性社員が育休を取ることで仕事上の具体的なメリットはありますでしょうか。
・中小企業には、育休取得の体制を作ることはまだまだハードルが高いと感じますが、例えば育休の取り組みや各種表彰が具体的な人材獲得につながるなど、経営に関するメリット、自社の高齢の経営層を納得させるためのアドバイスをください。
・津曲社長へ 現状、弊社では人手不足の状況で、男性育休を取得することでお客様へご迷惑をお掛けすることも想定されます。何か良い打開策があればお教えください。 ・津曲社長へ 育休推進により、生産性が向上した(下がらなかった)事例を教えてください。また、同じく育休推進により、人材(求人)確保につながった事例を教えてください。

講演にてお伝えした通り、「育休」対応のみで、社内における理解や人手不足への対処を行えたという訳ではありません。どの企業も人手不足であり、経営が厳しい今だからこそ、経営戦略として「今いる人材を大切にする」事をお勧めします。

メリット:人材育成につながり生産性が向上している(有休では最大年間20日の取得に対して、製造現場の生産性は10%以上向上を達成)、女性もより休みやすくなった、男性の退職原因を減らせた、会社のイメージがアップしてブランディングが行えた、認定取得から男女の優秀な人材獲得につながった(管理職のUIJターン採用も)など

デメリット:費用負担ぐらいですが、法律が改正されて補助が広がっているので特にはありません。

相談しやすい環境など、具体的な風土づくりとして、まず何から始められますでしょうか?

トップや上司が、率先して現場の意見を聞いて回り、現場の想いを理解する事から、始められる事をお勧めします。

育児や有給取得について実績データは大きく変わりました。急にハンドルを切り返すと必ず歪みが生じたかと思います。取り組み一年目に一番大変だったことはなんですか?周りの理解も含めて教えてください。

取り組みはまだ私が社長になる前から、トップではない専務の時からスタートしました。もちろん当時の社長(現会長)に理解を得て行いましたが、全社員、特にベテランおいて。これまでの「休まず働く事が評価されるという常識が急に変わる」事への戸惑いがとても大きく、変わる事への不安から誤解を受けて、裏で色々と言われ続けた事が私としては辛い時もありました。理解して納得できるまで、安心してもらえるまで。ブレずに地道に続ける事が大変でした。どんな制度を作るかでなく、「現場の強い願い」と、「経営者の覚悟」の両方がベースであり、とても大切だったのではないか…と、振り返ると強く思います。

津曲様に質問です。ひなたの極やくるみん等様々なシンボルマークがあり、これから取得に取り組もうと思っているのですが、どのシンボルマークが一番効果的でしたか?

振り返ると、ベテランへの意識改革という点では、「宮崎県で初」となりテレビ取材を初めて受けられて放送して頂いた「えるぼし3つ星(女性活躍)」の取得による好影響が、大変大きなものがありました。「大手有名企業がある中での初認定」は、半信半疑だった取組が「良いものなのだという安心」に変わり、「大変誇らしい」と、取り組みへの理解度が社内外へと急激に広がりました。

実は、取得による効果はあまり意識せずに、「取得できそうなもの」から貪欲に取得してきたというのが実態であり、その過程において自社の強みも見えて理解できたというのが現状です。私としては、企業イメージが上がりやすくて、県主催の就職説明会へ優先参加権もついてくる「ひなたの極み」、そして女性求職者へのPR効果が高い「くるみん(子育てサポート認定)」をおススメします。

男性育休取得促進よりも男性の子育て育児参加や家事育児のスキルアップは、どのようにお考えでしょうか?

男性の育児参加や家事スキルは、会社として関与しづらいものですが、私は自分の経験から「本人の意識」が最も重要だと思います。そのため、先ずは「出産の立ち会い」そして「育休でのレスキュー」を経験する事で、男性は子育て育児参加や家事育児のスキルアップへの意識が強く高まり、自ら望んで前向きな行動(男性の子育て育児参加、家事育児のスキルアップ)につながりやすいと考えて推奨しています。

そして、男性の子育て育児参加や家事育児のスキルアップ実際に習いたい方が学べる場は意外と少なく、宮崎県が行われている学びの場の提供(家事・育児スキルアップワークショップ)は大変有難いものだと考えています。少し前まで「男性が家事なんて」という風潮があり、いまだに「夫が弁当を作る」というだけで驚かれたりします。ママ友ならぬ「パパ友」の仲間が増えると心強くて有難いですので、こういった学びの場が増えて、忙しい中でもスマホで動画を見て学べる仕組みがあると助かると思っています。

子育ては産まれた直後も大変ですが、義務教育期間、それ以降も大変です。なにか会社独自でされてる取り組みはありますでしょうか?

本来は「要介護」にならないと使えない事が多い「介護休暇」の利用条件を緩和しています。「要介護ではない高齢者」や「要介護ではない子供」においても、歯医者など病院に連れて行く場合にも使用可能としています。

寮において、えびの市にある加久藤寮では家族での入居が可能ですが、「母子あるいは父子家庭においては、通常(最長10年)よりも長く、扶養する一番若い子どもが23歳の誕生日を迎えるまで利用が可能」として期間入居を定めて福利厚生を行っています。

今後、組織規模拡大に向けて

拡大すればするほど、社員教育にも多くの時間と費用が必要になります。その為、できるだけITを活用して効率的に事例の紹介などを周知してゆきたいと考えており、取り組みを行って参ります。

男性育休の推進について、代替社員の確保が課題と考えますが、人手不足の昨今、何か良い手立てがありますでしょうか。

育休は計画的に進めることが可能なので、取得日を計算して他の方が代替できる体制をつくる必要があります。
弊社では、常に属人的な仕事の仕方ではなく、どの仕事もチームで出来る体制に切り替えています。そうすることで誰でも安心して休むことが出来ます。男性育休だけでなく働きやすい職場にするにはやはりトップのリーダーシップは欠かせません。人手不足を解消する第一歩は働きやすい職場づくりですので、人手不足解消したいのなら、まずは、働きやすい職場づくりに取組むことからだと思います。

男性育児休業への理解度 取得しやすい風土づくりが課題

風土づくりは、明日からすぐに実現するものではありません。時間がかかりますので、トップ含め、組織全体で共通認識の元、働きやすい職場づくりに取組むことが第一歩です。子どもは社会の宝です。みんなで子育てを応援していく意識が大切です。人口減少の時代に子育て世代を応援していくことは、今の時代では当たり前だと思います。我々も歳を重ねたら子どもたちに支えてもらう時代になります。その子どもたち、子育て中のご両親を支えていくのが企業の使命の一つでもあると思います。そうしていかないと企業も存続出来ませんので、挑戦していきましょう。

育休取得者以外の職員に対しインセンティブがあるか。

弊社では、インセンティブはありません。お互い様の精神でみんなで助け合う社風にしております。お子さんがいない結婚していない若い社員も旅行や趣味の時間等で有給休暇でお休みすることもあるので、社員一人一人が自分らしく働ける職場にしていますので、他の社員からのクレーム等も一切ありません。